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「タップ・ジゴロ」観てきました!

2012年09月27日
前にこのブログに書いた、タップ・ジゴロを練馬文化センターで観てきました。

まず訂正が一つ。翌日の昼の部も観るつもりだと書きましたが、演劇を観る会では1回しか観賞できないことが判明して、最初から2回観るのだ!と鼻息荒かった出鼻がくじかれて大ショックでした。

舞台は、アメリカの占領下にある戦後の銀座。街角には、米兵目当ての娼婦が立っている。近頃、米兵さんがどんどん減っちゃって商売は雨降りだ・・・と嘆く。
元ダンサーの娼婦を演じるは、かつて宝塚の星組トップ娘役を務めた星奈優里さん。

大好きだった星組の娘役さんが出ているということで、今回非常に楽しみにしていました。
星奈さんを最後に拝見したのは2001年の「ベルサイユのばら」、王妃マリー・アントワネット役でしたが、それから11年も経ったとは思えない変わらぬ美貌と可憐さでした。

とはいえ今回の役は娼婦役なので、それなりにケバい感じと性根の悪さみたいなものが表現されています。それでいて品は失っていないというあたり、さすが元タカラジェンヌです。
そんじょそこらの女優さんが同じ役をやっても、これだけの気品は醸しだせないでしょう。王妃様からガラのよろしくない立ちんぼまで気高くこなす星奈さんって素晴らしいです!

さて、順序が逆になってしましましたが、主役はキャバレー・ペンギンなどいくつかのステージで天才的なタップダンスを披露するジョニー佐々木。売れっ子の彼は誰にも気前よくお金を分け与え、「蓄える」という言葉などは無縁の根っから芸人気質の男です。

演じるのは、北野武監督作品の「座頭市」に出演し、タップダンスの振付も担当して話題になったタップダンサー、HIDEBOHさん。このタップ・ジゴロは、HIDEBOHさんの舞台初主演作品だそうです。

天才タップダンサー・ジョニーを自然体で演じていて、タップダンスの見事な足さばきに惚れ惚れしました。人間の足ってこんなにも驚異的に素早く動くんだ~! と、ひたすら驚嘆です。

わたしは今まで、テレビでしかタップダンスというものを観たことがありませんでした。それも昔やっていた芸能人の「新春・かくし芸大会」のマチャアキ(堺正章)のとか、その程度。
だけど、そんなのって極めて基本的なステップにすぎないんですね。ちょっと練習すれば、あのくらいのタップは誰でもできる。

でも、HIDEBOHさんのタップはあんなもんじゃない! 本当に足が精密機械のように動き、楽器のような音色を奏でていました。

ところで今回の観劇、わたしの最大の注目はキャバレーの支配人役・竹中総次郎を演じる井上和彦さんだったのですが、期待以上の内容だったので大満足でした。

あの素敵な声をうまく活かした、素晴らしいキャスティングではないでしょうか。物静かなしゃべりの中にも「元ヤクザ」の凄みが隠されていて、さすがは一流の声優さんです。

最後は、店を手放す悲哀すらも男の色気に転換した見事な演技で締めくくり。素敵な声を長い時間ずっと聞くことができて嬉しかったです。

残念だったのは、ヒロイン役との掛け合いで客席から笑いが起きるたび、井上さんのセリフが聞き取れなくなったこと。
笑いを想定した”間”が必要だったかも。

ヒロイン役の横山智佐さんも声優さんです。わたしはこの方が出たアニメを観たことがなかったのですが、人を惹きつける明るい声質が魅力的だと思いました。
美人で可愛いのに、ポスターのオバハンっぽい写真でだいぶ損をしているんじゃないかなぁ(朝丘雪路かと思っちゃいました)。

横山智佐さんの役どころは、青森から歌手を夢見て上京してきた、お国訛り丸出しの中川鞠子。
興奮してまくしたてると何を言ってるんだか、誰にもさっぱり理解不能な鞠子。それなのに歌を歌わせると訛らない。おまけに鞠子はアメリカのジャズをレコードの耳コピだけで100曲くらい歌えるという、ある意味天才な女の子なのです。

鞠子は蕎麦?ラーメン?の配達中に、たまたまキャバレー・ペンギンの歌手募集の張り紙を見てふらりと入ってくる。井上和彦さん演じる支配人は、鞠子の訛りを聞くや門前払いするが、拝み倒されて渋々オーディションをすることに。

鞠子が歌い始めた時は背中を向けて帳簿か何かを見ていたのに、やがて振り向いて最後まで身動きひとつせずに聴き入る支配人の、驚きと称賛に満ちた表情がこれまた凄くいい!

声もステキだけど、役者・井上和彦もなかなかステキです♪

こうして念願の歌手となった鞠子は一躍キャバレー・ペンギンの花形に。初めは押されていたジョニーもグループでタップダンスをするというアイデアを思いつき、好評を博す・・・。

★☆以下ネタバレ満載になるので、これから観る方は注意してくださいね☆★

ところが、まだまだ贅沢品ながらもテレビが一般に広まり始めたことで、キャバレーには客が入らなくなってしまいました。
時代は変わる。人も変わる。いつしかタップは受けなくなり、ジョニーは酒びたりの日々を送る。

一方、鞠子は政府の肝いりでアメリカに渡ることになり、一緒に行こうとジョニーを誘うがジョニーは断る。

星奈優里さん演じる娼婦みな子(漢字不明;)はヤクザのゆげ(これも漢字不明だけど弓削?)の愛人となり、羽振りよさげ。

しかし、同郷の鞠子がアメリカに行くと聞いて、「わたしもダンサー志望だったのに・・・どこでどう間違ってしまったのか」と泣き崩れる。
みな子が身を持ち崩してしまった理由はなんとなくわかります。

冒頭のソロシーンで、米兵の「I Love You」という甘い囁きや、コーラ、ビフテキに夢中になった みな子の歌とダンスが披露されます。
アメリカがもたらした、かつて経験したことのない味と文化。戦後の混乱。ダンサーとしての挫折。

その中で生きていくために、お金がすべてという拝金主義に染まったとしても無理のないことだったかもしれません。
悲しいかな、人はお金がないと生きていけない。でも、お金がすべてという生き方をしたら、大事なことを見失ってしまう。

みな子の嘆きは、戦後日本の悲しい現実を体現したものという気がします。

対照的に、鞠子は初めて会ったジョニーからその時もらった500円を、最後まで使わず大切に取っておくような、健気な子です。一方で、どこで暮らしてもやっていけるという逞しさも併せ持っています。

このお話、ラストの時点でハッピーなのはこの鞠子と、ヤクザの弓削を継いで景気のいい子分・山下、映画俳優にスカウトされたキャバレーのボーイのみ。

そして、そのボーイをスカウトし、「これからは映画の時代よ!」と政府の官僚でありながら芸能プロデュース業にいそしむ女が一番の勝ち組かも(笑)
ああ、この女性の役名、忘れてしまった。演じるのは、こちらも元タカラジェンヌ・大鳥れいさんです。

先に「映画に出ないか」と持ちかけられたのに断って、今は落ちぶれ酒浸りのジョニー、キャバレーを売った少ない金を手にどこかへ去っていった支配人、みな子ら3人は失意の負け組。弓削は病気で余命少ない(たぶん肺がん)。

まあ、時代が読めなかった、時代の流れについて行けなかったということでしょうか。みな子は美人だから、足を洗ってやり直せるんじゃないかな。

ラスト、「明日、アメリカ行きの船に乗る」という鞠子に、「またタップで稼いで、春までに金を貯めてお前の後を追う」と約束するジョニー。
「一緒に住むか」で、うなずく鞠子。けれど、鞠子が去った後、ジョニーはまた酒を飲もうとウィスキーのビンを手にしてしまう。

鞠子がバッグから出して引っ込めた10万円、渡さなくて正解だったかもしれません。もし10万円をあげてしまったら、ジョニーは全額お酒に使い果たしてしまったでしょう。

この後、ジョニーはヤル気スイッチを押して大活躍し、鞠子を追って渡米できるのか? それとも、やはり酒浸りの日々に戻ってしまうのか・・・?

気になるところですが、なんだか後者のような気がしないでもありません。
でも、キャバレー・ペンギンのステージでタップを踏むラストシーンは、彼がいずれ迎える「人生の第2幕」を象徴していると思いたいです。

人間、命さえあれば何度でもやり直しができる。身を持ち崩しても、酒浸りになっても、無一文になっても、再起は可能なんだ! 

人は変わる。変わることができる。だから諦めるな! という力強いメッセージを受け取ったような気がしました。
海水魚 | コメント(0) | トラックバック(0)
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